「好きな服を着ればいい」って簡単に言わないで

「好きな服を着ればいい」って簡単に言わないで

こんばんは!
パーソナルスタイリスト・服装心理カウンセラーの久野梨沙(@RisaHisano)です。
ファッションで人の心を知り、動かす「服装心理学®」を活用した個人向けスタイリングやスタイリスト育成、講演活動などを行っています。

「好きな服を着ればいい」って簡単に言わないで

ファッション誌やファッション情報サイトの取材を受けることが多いんですが、そのときにモヤっとすることが少なからずあります。

それは、私がスタイリングを担当するお客様がよく抱えている悩みを話したときのリアクションに。

 

「えーーー?!みんなそんなことで悩んでるんですかぁ?」

「好きな服を自由に着ればいいだけじゃないかなって思うんですけどね。そこをもっと後押しする企画にしたいな、と」

 

うーーーん、モヤる。

こういうリアクションをするファッションライターさんっていうのは、物心ついたときからのファッション強者なんですよ。ナチュラル・ボーン・おしゃれ。

 

そういう人にとっては、

 

「これを着たら、周りから浮かないかな」

「似合っていないって思われないかな」

「おなかが出てるの目立つんじゃないかな」

「痛いって思われないかな」

 

って悩んで、毎朝洋服を着たり脱いだりする人の気持ちは、頭ではなんとか理解できても、共感するのはやっぱり難しいみたいなんですよね。

 

こういう悩みを抱えている状態で「好きな服を自由に着ればいいんだよ!」って言われたってそりゃ無理だよ、っていうのは、同じようなことで悩んだ経験があれば、すぐにわかることではあるんですが。

 

例えば、ルールのまったくわからないゲームの世界にいきなり入れられて、なんだかよくわかんないけどちょっと行動しただけでライフが減る状態だ、と考えてほしいんですよね。

そこに昔からいそうな超レベルの高い住民に「自由に行動すればいいんだよ」って言われたって、できるかよ! って話じゃないですか。

こちとら何がきっかけでライフが減るのか全然見えないんだよ、せめて最低限のルール教えてから言ってくれ、と。

 

だから、取材を受けながら、虚無感に襲われることがあります。

「私には気持ちわかんないんですよね~」なんて言われながら作られたページは、果たして本当に悩んでいる人に届くのか、と。

もちろんライターさん全員がそうという訳ではないんですが・・・・・・。

 

同じように、洋服を作っている側にも生粋のファッション強者がたくさんいます。

そういう人たちには、真っ正面からこう言われることもありますよ。

「似合うかどうかで服を着るかを決めるのはナンセンスだ。

服は自己表現であるべきで、似合うかどうかではなく着たいかどうかで決めるべきだ」と。

 

そりゃああなた、初めからそういう強い気持ちが持てれば(以下略)

 

まあこういう不毛な議論になったとき、相手に聞く耳がありそうであれば、まずはこんな話をします。

マズローの欲求5段階説

心理学の世界では有名なマズローの欲求5段階説ってやつです。

 

以前以下の記事で、おしゃれに関する欲求をこのマズローの5段階に当てはめて考えてみよう、って話をした通り、

 

 

おしゃれに悩んでいる人は、「社会的に見てこの格好でおかしくないだろうか」と悩む、③社会的欲求 の段階で悩んでいます。

でも元々おしゃれが得意な人は、「もっとおしゃれに見られたい」「人と違う格好をして差を付けたい」と言ったような ④承認欲求 の段階だったり、「自分が思う理想のファッションを体現しよう」といったような ⑤自己実現欲求 の段階にいるんです。

 

大切なのは、上の段階にいるから偉いとか優れているというわけではない、ということ。

価値観やフォーカスしている問題が違うだけ、ということなんです。

だから、上の段階にいる人が「こちらの欲求の方が優れているから、こちらに引き上げるべき」と思うのは余計なお世話ってもんです。

 

また、性格によっても、おしゃれに求めるものは変わってきます。

 

日本服装心理学協会で開発している「服装心理診断」を使って性格を見てみると、以下の5つの性格傾向のうちどれが強いかがわかりますが、

5つの性格傾向別・カプセルワードローブの作り方

この中で、独創性が飛び抜けて高い人は、「好きな服を自由に着られる」傾向にあります。

というのは、独創性はおしゃれの価値判断の軸が他者ではなく自分だから。人からどう思われようと、自分がアリって思えばアリな人だからです。

 

逆に、一般性が飛び抜けて高い人は、おしゃれの価値判断の軸が圧倒的に他者。

自分がいくら好きでも、周りの人から「おかしい」と少しでも思われるなら、その服を脱ぎたい。むしろ、周りの人から似合うとか素敵と思われてはじめて、その服をやっと好きになれる、といっても過言ではないくらい。

こんな「一般性」タイプの人には、「好きな服を自由に着ればいい」と言われたって、まっっったくピンときません。

 

また、規律性が高い人も、ルールを重んじる性格傾向にあるので「自由」というのがピンとこないかも。ファッションに何らかのルールがあるなら、それを重視したいと感じるでしょう。

 

こんな風に、おしゃれの何に心地よさを感じるかは、その人の心理的な状態に大きく左右されます。

 

「おしゃれに正解はない!」とよく言われますが、これは「似合うかどうかや流行なんて気にせず、自分の好きな服を着るべき」という意味では決してなく、

 

「似合う」を基準にしても、流行にとらわれても、好き・嫌いで選んでも、どんな基準でもよい

 

ということです。

つまり、自分の心理状態を最優先してもよいということ。
当たり前のように思えることではありますが、しかし、私たちは日々様々な価値観にさらされていて、自分の心を優先するのって意外と難しいのです。

 

ファッション業界がよく提示する「好きなものを着るべきだ」というのも、ある種の価値観の押し付けだと言うことに気づかなければ、今おしゃれに悩んでいる人にファッション業界がリーチできることはないでしょう。これは、自戒を込めて、強くそう思います。

 

ファッションに男ウケなんて気にするな!私は私の着たいものを着る!

という考えが尊重されるべきであるように、それと同じくらい、

男受けする服が着たい!

という気持ちも尊重されるべきですし、

 

ヒールを履かなくて良い自由は、

ヒールを履いて良い自由をももたらすべき。

 

本当に自由におしゃれを楽しめる世界って言うのは、そういう世界だと思います。

 

で、その世界ではパーソナルスタイリストがいらなくなるかっていうとそんなことはなくて、一人一人違うおしゃれの形を、より楽に楽しめるお手伝いをする役割になるんだと思います。

そうだとすれば、似合う服の診断ができるだけではパーソナルスタイリストとして不十分なのは言うまでもなく。もっとお客様の「心」に寄り添えるスタイリストが必要だと思っています。

 

そして、そういうスタイリストは、今、全然足りていません。

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久野梨沙 Risa Hisano

スタイリスト・服装心理カウンセラー久野梨沙

(株)フォースタイル代表取締役、(社)日本服装心理学協会代表理事。

大手アパレルメーカーで年間売上総額60億円に上るアパレル商品を手掛けた経験と、 心理カウンセラーとしての知識を活かし、独自の「服装心理学に基づくパーソナルスタイリング」を生み出しました。
All Aboutファッションガイドなどファッションライター、セミナー講師としても活躍中。

プライベートでは2016年生まれの男児を育てる1児の母。

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