着ている服に表れる心理

 

こんばんは!
パーソナルスタイリスト・服装心理カウンセラーの久野梨沙です。
ファッションで人の心を知り、動かす「服装心理学®」を活用した個人向けスタイリングやスタイリスト育成、講演活動などを行っています。

 

接客心理学とか恋愛心理学とか、私が大学時代に心理学を研究していたときよりも「心理学」という言葉を目にする機会が格段に増えました。

それに伴い、「心理学」の意味が弊社の意図とは違った形でとらえられることも増えています。


そこで、服装心理学を初めて取り入れたパーソナルスタイリストとして、もう一度、フォースタイルが掲げる「心理学を取り入れたファッションコーディネート」とはどういうことなのか、少しずつ書いていきたいと思います。

 

服装心理学では「おしゃれ=良い」という概念はない

まず、心理学的に服装というものを捉えるとき、そこに「おしゃれだから良い」「おしゃれじゃないからダメ」という良し悪しの判断は一切ありません

よくお客様にも
「僕はおしゃれじゃないからダメ出しされるんじゃないかと思って緊張してました・・・」
と言われることがあるのですが、私、おしゃれじゃなきゃダメだとは一度も思ったことはないです(きっぱり)!
おしゃれじゃなくても、その人が不便がなく、幸せならそれでいいじゃないですか。
なんにも変える必要ありません。

 

そもそも「おしゃれ」って何?

ファッション性があるレベルを超えると、そこから先ははっきり言って好みの世界。
スタイリストが「おしゃれじゃなきゃダメだ」と言い切ってしまうということは、その「スタイリストが考える」おしゃれな状態でなきゃダメだ、と言っているのと同じ事です。

私には、お客様を自分の好みのファッションにしたいという願望がないので「おしゃれじゃなきゃダメだ」とは思いません。

その代りにいつも考えていることは
「この人が一番心地よくいられる服装ってどんなものだろう?」
ということです。

それを知るには、なぜパーソナルスタイリングを受けに来たのかを深く知る必要があります。

 

なぜおしゃれになりたいか、本人すら気づいていないこともある

でも、本当の理由を、お客様ご自身すらわかっていないことも実はよくあるのです。ここが難しいところ。

 

たとえばこんなケースがあります。

あるお客様(Aさんとします)がいらっしゃいました。

Aさんは若々しいカジュアルファッションでお越しになったのですがそれがとてもよく似合っていて、私から見ても、なぜそんなにファッションを変えたいと強く思っているのかよくわからないような状態。

でも、カウンセリングを終えてみると「もしかして」と思い当たるふしがあり、それを確信に変えるため、お買物同行で今のファッションとは真逆のとにかく大人っぽいクールな服装を着てもらいました。

すると、Aさんは、涙を流しながら、

「こういう大人っぽい服が着たかったんです・・・」と。

 

 

実は、カウンセリングの際にわかったことなのですが、Aさんの親御さんは少々過保護気味で、Aさんが十分大人と言える年齢になったにも関わらず一挙手一投足に口を出してくるというのです。

もちろん、ファッションにも。
今持っている服は、すべて親御さんが買ってきたものということでした。

 

 

つまり、Aさんは単にファッションを変えたくてスタイリングを依頼したのではなかったんです。
彼女が本当に求めていたことは「親からの巣立ち」
親からの卒業のきっかけとして、無意識に選んだのがファッションの改革だったというわけです。

※内容は個人が特定されず、かつ意味合いに違いが生じない程度に改変しています

 

さて、正直言って、Aさんに、今までの若々しいカジュアルファッションとクールな大人っぽいファッションのどちらが似合いやすかったかというと、カジュアルファッションの方でした。

でもAさんの「卒業」を後押しするためにはどうしても、新しいファッションが必要だと感じましたので、できるだけAさんに似合うような、大人っぽいスタイリングをしたのです。

それ以降も、何度かスタイリングを重ねるうちに

「一人暮らしを始めました」
「自分で転職を決めました」

といった報告を聞かれるようになり、それとともに、「前と逆のファッションを!!」という頑ななまでの思いが消え、自分に似合うファッションを、先入観なく自由に楽しめるようになっていきました。

 

服自体は問題ではない。でも服を変えることで心が変わることがある

こういった、お客様の問題は本当は服では無いというケースは、実はよくあります。

 

そんなお客様に出会ったときに、心理カウンセラーとしての質問力を生かして本当の目的を引き出すことができないと、洋服を買っても買っても満たされない状態や、どんなファッションを着ても満足できない状態に陥ってしまいます。

 

今回挙げたケースでは、私は当初Aさんに購入頂く洋服はできるだけ必要最小限になるように努めていました。

なぜかというと、親御さんからの卒業の時期が終われば、大人っぽいファッションは必要がなくなるだろう、と思っていたからです。
必要がないものに、散財をしていただくわけにはいきません。

 

本当にその人に必要なファッション。
その人が欲している、ファッションの役割。

それを知るには、「これはおしゃれ」「これはおしゃれじゃない」というスタイリストの勝手なジャッジをせず、まっさらな気持ちで、その人が今着ている服にどんな心理が表れているのかを見つめることだと思っています。

 

ファッションには、「おしゃれ」以上に大切な役割がある。

 

私はそう実感しています。

 

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