アパレルECサイトは実店舗に近づく必要性があるか

 

アパレルECサイトの今後の課題なんかが書いてある記事を読む度、
消費者の希望とちょっとずれているような気がいつもします。

私はもうパーソナルスタイリストとしてのキャリアが長くなってきて
今や、アパレル業界の人と話をするより
一般のお客様と話をする機会の方が多いので
だいぶ消費者寄りの発想になってしまっているのですが、
お客様はECサイトと実店舗とは完全に使い分けていて、
ECサイトを実店舗に近づけるための工夫といったものは欲していないと感じています。

アパレルECサイトは実店舗に近づく必要があるか
たとえば、
「コンシェルジュ的な対応(その人に似合うものをオススメするなど)をチャットでしてあげた方がよいのでは」
という意見もよく見ますが
何かをお勧めしてもらいたい人は、実店舗に行くと思います。

 

私がお客様として担当した方は、みな口を揃えて
「店員さんと話すのが面倒なときにECサイトを使う」とおっしゃいますので
属人的なサービスをECサイトに求めている人がそう多いとは思えません。
(もちろんゼロではないと思いますが・・・)

その分のコストを、AmazonやJavariのように、
一定期間返品送料無料にする方に回した方が、
喜ぶお客様は多いように思うのです。

 

あとは、レコメンド機能の精度UPより、
検索機能の精度UPの方がきっと大事。
自分が欲しい物を確実に探し当て、比較できることが
ネットショッピングの利点だと思っている人が多いので・・・
(店頭にあふれる商品を見るだけで
うんざりしてお買い物をする気がなくなる、という人も多いのですよ・・・)

SNSとの連携も、実際楽しんでいるユーザーってそんなにいないような。。。

 

お買い物に他人が関わってくることや
欲しい物がパっと見つからないことに
ストレスを感じている人はとっても多くて、
どうせ人を介さなきゃ買い物ができないんだったら
完璧なプロで、自分の味方になってくれる人を介して買い物したい、
と考えてパーソナルスタイリストを頼む人が多い昨今。

ECサイトでのお買い物は、
「完全に自分一人で手早く気兼ねなくできる」という方向を追求していく方が、
喜ぶ人が多いように感じるのですが。。。

そうなると、タイトルへの答えはNO、だと思うのです。

 

久野梨沙 Risa Hisano

スタイリスト・服装心理カウンセラー久野梨沙

(株)フォースタイル代表取締役、(社)日本服装心理学協会代表理事。

大手アパレルメーカーで年間売上総額60億円に上るアパレル商品を手掛けた経験と、 心理カウンセラーとしての知識を活かし、独自の「服装心理学に基づくパーソナルスタイリング」を生み出しました。
All Aboutファッションガイドなどファッションライター、セミナー講師としても活躍中。

プライベートでは2016年生まれの男児を育てる1児の母。

詳しいプロフィールはこちら!