ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

こんばんは!
パーソナルスタイリスト・服装心理カウンセラーの久野梨沙(@RisaHisano)です。
ファッションで人の心を知り、動かす「服装心理学®」を活用した個人向けスタイリングやスタイリスト育成、講演活動などを行っています。

ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

アパレル業界は早くも2020年春夏のトレンドが流れ始めているところ、こんなニュースを見かけました。

はてさて、サスティナブルとは。

サステイナブル(sustainable)

[形動]《「サステナブル」とも》持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。

────デジタル大辞泉より

ファッションでサスティナブルを意識した取り組みというと、「着古したものを引き取ってその分○%OFF!」というキャンペーンとか、リサイクルを意識した素材を使った服とか、労働環境に配慮した生産過程なんかが挙げられることが多いですね。

また、上記のニュースで取り上げられていたような自然をモチーフにしたデザインなんかも、地球環境を意識しましょうっていうメッセージということで、サスティナブルな取り組みの一種として挙げられます。

 

でもどれも新品を買うことを促していることにもなり、果たして本当にこれがサスティナブルな・・・つまり、地球環境を考えた取り組みになるのかというのがこのところの疑問でした。

そうはいっても「地球環境を守らねば!」という精神に突然目覚めたというような大きな話ではなくて、この疑問のきっかけは、ここ最近立て続けに出会った、何人かの男性のお客様のお悩みを解決したいなぁと思ったことなんです。

ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

今年の春は、これまでご利用になってる女性のお客様がご主人と一緒に改めてパーソナルスタイリングを利用して下さる率が高く、また新規の方でもご夫婦ご一緒での申し込みがいつになく多いのが特徴でした。

いずれも、奥様が主導でのお申し込みで、理由や背景はバラバラなものの、「夫はずっと同じ格好をしているが、そろそろ違う格好にチャレンジした方がいいのでは」というのが、お申し込み時の理由として共通していました。

その辺りはこちらのnoteでも記事にしました。

さて、驚いたことに。

これらのお申込の、男性のお客様が普段着ているブランドを伺ったところ、何と同じ2つのブランドだったのです。見事に全員!!

なぜそれらのブランドかというと理由は明確で、「10年単位で同じものを売っている、もしくは若干のリニューアルがあるがほぼ同じものを売っているから」

 

女性の側から見たら、「この人は服装に無頓着で、服を選ぶのが面倒だから同じ服を着続けているんだ」と思いがちなんですが、実は男性側はしっかりとした意思を持って同じ服を着ていることがほとんどです。

例えば、「新たに洋服を考える時間がもったいない」とか「必要な機能性さえ満たしていればどの服も大差ない」とか「買い替える手間を極力無くしたい」といった具合にです。

うちの服装心理診断を受けていていただくとこういう方はたいてい「合理性」の値が高い結果を示します。

耐久消費財として、洋服を買っているという感じです。

 

ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

 

 

合理性が高い人は、見た目の趣味嗜好で洋服を選ぶことはせずに、機能性のような言語化しやすい価値基準で服を選ぶ傾向にあります。

そして、その機能性のうちの一つに「その服が傷んだとき、再入手可能かどうか」というのがかなり大きな割合であるのです。

家電なんかを買うときに、

「型落ちで安くなってるけど、すぐにパーツの生産が止まっちゃったら修理に出せなくなるから結果的に割高だよな」

って考えるのと同じ思考回路で、洋服についても考えるんですね。

 

そして、翻って、アパレル市場を見てみると、5年とか10年という長い期間にわたって再入手可能と言い切れるアイテムは、実に少ないことに気づかされます。

ほとんどのアイテムはその年のトレンドによって色や柄が変わる。定番品と謳っているものでさえ、色展開が変わったりします。

買い替えタームの長いビジネスウェアであれば定番品の割合はぐっと高まるのですが、これがカジュアルになると極端に少なくなります。

ただでさえ男性向けのカジュアルウェアの選択肢は女性に比べてかなり狭いにも関わらずです。

そうなると、男性がカジュアル服を買う時に、再入手性、つまり個人単位での「ワードローブのサステナビリティ」みたいなことを考えると、選べるブランドはわずか2つか3つになってしまうということなんです。

上述の男性のお客様たちは、それらのブランドをしっかり選んでいた、と。

 

確かにファッションビジネスを考えれば、できれば1シーズン、せめて数シーズンおきに買い換えてもらわなければ商売が成り立ちづらいというのはわかります。これは私もメーカー出身だから痛いほどわかる!

でもその一方で、「シーズンごとに品揃えが変わってしまうからそのブランドを選ばないんだ」という人も、ファッション業界の人が思っている以上にたくさんいるというところは知られていないんじゃないかと思うんです。

商品をどんどん入れ替えてしまうが故の機会ロス。

こんなに逸されている機会があるとは、少なくとも、メーカー勤務時代の私は気づけなかったです。

ファッションでサスティナブルな社会を実現するなら、もっと定番アイテムが増えるべきなのでは

ですから、私がこういう方達にスタイリングをするときは、似合うとかおしゃれだとかだけじゃなくて、再入手性も重視してアイテムやブランドをセレクトします。

それは、そのメーカーの姿勢やブランドの背景、トレンド推移などから可能な限り予測します。

そして、うちのお客様は5年、10年単位でご利用くださる方がほとんどですから、もしそのアイテムが廃番になったときには代替品を提案します。

私個人は飽きっぽい方なのでつい数年経つと新しいスタイルに挑戦して頂きたくなっちゃうんですが(笑)、お客様が求めていないのにそれをするのは単なる自己満足ですから。ぐっとこらえて、これまでのアイテムのメリットを引き続き享受できるような代替品を探します。

 

そうそう、こういうタイプは女性にも意外と多いんです。

数回お買い物同行をご提供してパッタリとご利用が止んだ女性のお客様が、5年ぐらい経ってまたふとお買い物同行を申し込んでくださったりするのですが、それが「これまで買っていたブランドがなくなってしまったから」という理由だと言うことはよくあります。

その5年間はといえば、私がお薦めしたブランドでずーっと買い足していたんですよね。

生活シーンが大きく変わらず、演出したいイメージも変わらず、外見もさほど変わらない。

そして極力お洒落にかかる手間をなくしたいという「合理性」が高い人は、ずっと使えるお気に入りのブランドが1つ見つかれば、オシャレはそれで済むのです。

そしてブランド側にとって、こういうタイプの人は、浮気しないとてもありがたい顧客となり得ます。

だからこそ、こういうお客様が10年20年単位でずっと買っていけるブランドがもう少し増えてくれないかなぁと思うのです。

まぁ、そういうブランドがほとんどないので、私のところに駆け込んでくれるという意味では、ありがたい話だと思わなければいけないのかもしれませんが・・・・・・。

 

 

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久野梨沙 Risa Hisano

スタイリスト・服装心理カウンセラー久野梨沙

(株)フォースタイル代表取締役、(社)日本服装心理学協会代表理事。

大手アパレルメーカーで年間売上総額60億円に上るアパレル商品を手掛けた経験と、 心理カウンセラーとしての知識を活かし、独自の「服装心理学に基づくパーソナルスタイリング」を生み出しました。
All Aboutファッションガイドなどファッションライター、セミナー講師としても活躍中。

プライベートでは2016年生まれの男児を育てる1児の母。

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