こんばんは!
パーソナルスタイリスト・服装心理カウンセラーの久野梨沙(@RisaHisano)です。
ファッションで人の心を知り、動かす「服装心理学®」を活用した個人向けスタイリングやスタイリスト育成、講演活動などを行っています。
このニュースが出てから、#KuTooの運動が広く知られるようになったと実感しています。
#KuToo運動とは、女性が職場でヒールやパンプスを強制されることに反対する運動です。
以下のWEBサイトで署名が集められています。
この動きを受けて、今年4月に弊社が担当させていただいた全ての新入社員研修では、各企業様に同意を頂いて、この#KuTooのお話も盛り込ませて頂きました。
事前の研修打ち合わせの段階ではまだこの#KuToo運動はそれほど認知されていなかったため、人事の方にお話をしても知っている方は、お一人もいらっしゃいませんでした。
しかし例え人事担当者は知らなくても、新入社員自身が知っていることは十分に考えられます。こういったSNS上を中心に広がっている運動は若い世代ほど目や耳にする機会が多いからです。
そんな中、例年と変わらずに「スーツにはパンプスを合わせましょう」といったようなマナー研修をしてしまうことは、会社自体がハラスメント体質があると疑われてしまう恐れがあります。
それは新入社員研修に限らず取引先に対しても同様で、このような社会運動に敏感な企業からすれば、未だにハイヒールを履かせている会社は時流が分かっていない会社として敬遠されても仕方ありません。
ファッションって人に特定のイメージを想起させる記号として大いに使いどころのあるツールなんですが、その記号的な意味は時代によって大きく変わっていくんですよね。
自分は知らずに昔のままの意味の記号として使っていても、気づけば社会では意味合いが変わっているということはよくあります。
そういう意味では、身だしなみマナーって昔からずっと変わらないものと考えられがちですが、そんなはずはないわけで。服装の持つ意味が変わりうる以上、それを媒介としたマナーが変わらないということはあり得ません。
なので、服装のマナー研修をする際には特に、最新事情をお伝えすることが一番大事なことだといつも思っています。
ハイヒールやパンプスを履く側も、これらのアイテムにこれまでとは違う意味付けがされ始めていること・・・女性を古い女性性に縛り付ける記号になり始めていること・・・を認識する必要があります。例え自分が個人的にはハイヒールを好きだったとしても、今後は与えるイメージを重視するなら履かない方が良い場面も出てくるでしょう。例えば私なら、女性活躍をテーマにした大学での講演などにはあまり履いていこうという気にはなれなくなっていますね・・・。
とはいえ。
ハイヒールやパンプスを履かなくても、ビジネススーツのコーディネートとしておかしく見えないのか。見た目に格好悪くならないのかというところは気になるところですよね。
このあたりは、研修をご提供した各企業様にも真っ先に質問を頂いた部分です。
まず、なぜスーツにはハイヒールがいいかというと、これはもう浴衣には下駄を合わせ、訪問着には草履を合わせるのと同じことで、「衣服としてそういう組み合わせになっているから」としか言いようがありません。
ですから、衣服のコーディネート論としては確かにスーツにはヒールの方が相性がよいのですが、でも例えば、浴衣に草履を履いたところで誰に責められる筋合いもないといえばそれまでですよね?
だから多少他者からはちぐはぐに見えたところで、本人の身体的な苦痛の方が大きければ、スーツにスニーカーも認めざるは得ない・・・というか、強制する権利は会社側にはないですね。
でも、企業としては社員が変な格好をしてるように見られたくない。
もちろん本人としても、ヒールを諦めなければいけなかったとしても、見た目には少しでも美しく保っていたいという希望がある場合は多いものです。
そんな時にはハイヒールやパンプスがどんなデザイン要素から成っているのかを分解し、取り入れられるところを取り入れるという方法があります。
洋服や服飾小物は、以下の図のように3つの要素から成り立っています。
ハイヒールのパンプスこの3つの要素に分解すると、
形:直線や角ばっている箇所が多い。つま先が尖っていたり、スクエアだったり。ヒールもフォーマルであるほど細くなる傾向にあり、直線が強調される
素材:レザー
色:黒か焦げ茶。主に単色
という特徴が明確になります。
「ハイヒール」「窮屈なパンプス」をあきらめたとしても、これらの要素の中で取り入れられるものは入れていけば、スーツと調和が取れやすくなります。
例えば、ウォーキングシューズのようなものを履いたとしても、つま先が丸いものよりは四角いものを選んだ方がスーツと調和が取れますし、また、スニーカーを選んだとしても、アッパー(甲を覆う部分)が黒でソールが白のようなものよりは、オールレザーの真っ黒の方が調和が取れるわけです。
こんな風に要素を分解して、企業と社員とでどこまで妥協できるかを一つ一つ詰めていくしかありません。
どこまでなら、履けるのか。どこからは、履きたくないのか。
でもこれって、洋服に限らず仕事のやり方全般に同じことですよね。
企業としてはこうして欲しい、社員はこれがしたい、そのすり合わせです。
デザインを分解してみてわかるように、必ずしも社員からヒールの高い靴が履けないと言われたからといって、いきなり派手なスニーカーを許さなければいけなくなる訳ではないのです。
それを知れば企業側もこの#KuToo運動をことさら拒絶する必要はないし、パンプスを強制する意味もあまりない・・・ということがわかるのではないでしょうか?
むしろこういった運動を、社員と密にコミュニケーションを取るきっかけにすれば、よいことばかりなのではないか、と思うのです。
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