毎週土曜日には、弊社が運営しているファッション起業スクールの講義が
入っています。

このところの講義では
特定のテーマやスタイリング技術に基づいて
コーディネートを作成する宿題を毎回のように出しているのですが
ある生徒さんが、宿題を提出してくれる際にちょっと悩んだ様子でした。

例えば、このコーディネート。


ある女性モデルさんの顔分析を行ない、
導き出された顔タイプを元に、
似合うコーディネートを組んでみましょうという課題でしたが・・・

まず、トップスを決めるところまではよかったのですが
そのあと、スカート、小物、とテイストのまとまりを意識しながら
コーディネートした結果、パーティースタイルにしかならなくなってしまった・・・とのこと。
本来は、普段に着るスタイルを作り上げたかったようです。

 

こんな風に、スタイリングを組む際には
メインとなるアイテムをまず決定して、
それに合わせて他のアイテムを選んでいくことが多いのですが、
その際、メインアイテムがどういう要素を持っているのかの捉え方が浅い
色々なコーディネートに発展させていくことができなくなってしまいます。

上に挙げたコーディネートでは、
トップスのドレープ感や生地の光沢感だけを捉えてしまったので
それが「パーティー用トップス」ににしか見えなくなってしまい、
ドレッシーなスカートと小物しか似合わない、と思い込んでしまったのでした。

 

でも、トップスのメインカラーは黒だから、
シックなカラーリングにすれば普段にも使えるはず、と気づければ


こういった、通勤スタイルにもなりそうな
落ち着いたスタイリングも組めるようになります。

 

また、トップスの襟ぐりに付けられたゴールドのブレード(紐状のテープ)を
よく見て、そのデザインを把握していれば・・・


実はエスニックテイストを感じるブレードだ、ということがわかるので、
こーんなエスニックなテイストのコーディネートも組めるはずなんです。

こういった風に、一つのアイテムを、色々な雰囲気のコーディネートに展開させていけないと、
着回しコーディネートも考えることができません。

 

スタイリングの基本的な知識・・・たとえば
カラーコーディネートや素材知識シルエットの知識
顔タイプ別に相性の良いコーディネート方法などを学び始めると、
その知識を生かそうとして
かえってスタイリングが組みづらく感じる時期が
必ず訪れます。

初めは、そんな知識のことなど気にせずに
感覚でスタイリングしていた頃の方がうまくいっていた錯覚に陥るかもしれません。
でもそれはあくまで錯覚です。

感覚に頼ったスタイリングでは、色使いや素材使いなどに
必ず癖が出ます。
また、自分の好みのスタイリングしか組むことができません。
その結果、着るモデルさんによっては
似合うスタイリングが全く組めない、ということにも・・・

 

逆に、理論に裏打ちされたスタイリングというのは非常に応用範囲が広く、
どんな相手でも、理論を元に最適なスタイリングを導くことができるようになります

プロとして、お客様にスタイリングを提供するのであれば
お客様にあった最適なスタイリングをするのは当然のこと。
自分のセンスの範囲内でしかスタイリングを組めないのは
プロとは言えません。

 

生徒さんも、毎回毎回の課題をクリアするごとに
どんどんスタイリングの理論を自分のものにしていっています。
基礎知識がしっかり身についたら、そこから自分の「色」を出していけばよいのです。
学び初めて半年くらいが、急激な成長が見られ始める時期。
これからが本当に楽しみです!